著作権管理団体の起源とStationers Companyについてメスキィタ

漫画村がインターネット上で海賊版ワンピースなどを無料公開していたことは記憶に新しいかと思います。出版物の本質的価値は物質であるインクや紙にあるのではなく、その文字情報や図像ですので、実物をスキャンしてしまえばその「価値」はいくらでも低い労力、コストで複製できてしまいます(発掘現場や工事現場で土の色を記録するときに参照する標準土色帳などのように、画面では再現できない情報のある出版物は別です)。これでは漫画家や作家に報酬を支払い、校正し、自前の販路で出版物を売って新たな作品を生み出すための資金回収などが難しくなってしまいます。こうした問題を解決するために著作権は編み出されました。

著作権は自然状態に存在する権利ではなく、社会がその枠組みを作って、社会を豊かにする著作物をさらに生み出したり、著作者やその関係者の生活を保障するためのものといえるでしょう。そのため初期の出版者や著者たちは自身の利益を確保することに非常に苦労していました。

出版物が無許可に複製されて世に広められてしまうということは古くから問題になっていました。活版印刷普及前は複製が非常に労力のかかる作業で、複写が正確でなかったり、重要でないと考えた場所の複写はしないなどのことがありました。活版印刷の登場は、植字で気を付ければ、正確な複写を大量生産することを可能にし、活版印刷出現当時の印刷業者は今まで写本でも流通していた古典作品の正確な版を生産することに注力していました。こうした事情もあって文芸復興ルネサンスの風潮が生まれたのでしょう。しかし、あらかたこうした古典が図書館や修道院にいきわたると、新しい書物の生産が盛んになります。このころにはロンドンの出版業者は組合でまとまっており、イングランドではこの組合以外の出版業者は撤退していました。この組合がステーショナーズ・カンパニーです。

彼らは互いの利益を守るために書籍の台帳を持っており、組合内(つまりイングランドの全出版業者)でその台帳の書籍は決まった版元だけが複製することができることになっていました。こうした利益確保がのちの著作権の概念につながっていきました。やがて版元がその権利を相続するなどするときにまた問題が発生するのですが、今回はここまで…

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