菅原道真解説の参考文献と、参考文献じゃないけどおすすめな本※(米印)

道真好きによる道真好きの道真好きのための……

 はじめまして、道真を千と二百年前から愛してる(アクエリオン並感)※(米印)です。
 
 菅原道真解説の第一回はいかがでしたでしょうか。

 さて、今回はまず純粋におすすめな本と、参考文献の中でとくに紹介したいと思った本を載せておきます。
 ただし、断っておきますが私は平安期日本史の専門家ではありません。あくまでも参考程度にどうぞ。

純粋におすすめな本

灰原薬『応天の門』(BUNCH COMICS)、新潮社。

 comicです。漫画です。でもこれがほんっとーに良いんだわ。
 私の道真イメージドンピシャだし、在原業平なんてそういやこの男に口説かれたわって記憶が捏造されるレベルだし、島田忠臣ですらほのかな薄暗さがよく似合ってるし、紀長谷雄もドリブルがうまい。
 紀長谷雄の扱いだけは若干気になりますが、これが将来あんな立派になると思うと目頭が熱くなるのでやっぱり良いかもしれない。
 年齢性別種族生死問わず全存在が読んでください。
 
 本来は「リンクはちゃんと用意するよ~」って言われてるけど我慢ならんのでもう貼っちゃいます。
 全人類が読む(しなさい)(極度乾燥しながら)
 
応天の門 1巻(book walkerさんのサイトにジャンプします)
 
 
 
滝川幸司(2019)『菅原道真 学者政治家の栄光と没落』中公新書。

 正直これだけ読んでおけばいいんじゃないかな。滝川幸司氏は後述する専門書も書いていらっしゃる方なので、信頼性も十分。それでいてわかりやすく道真を紹介しています。
 あれ? 私の動画の存在価値どこ……? となってしまったので、私は「ここに載ってないことを解説してやろう」とか思ってしまったんですね。
 
 その結果がこれ(大量の資料の山)だよ!

 

参考文献

(以下、文献はそれぞれ年代順に並べています)
 

  • 漢詩メインタイプ

川口久雄校注(1966)『菅家文草 菅家後集』(日本古典文学大系 72)、岩波書店。
※ちゃんと漢詩を読むならこれは必須。冒頭の「解説」には川口久雄の道真論が載っている。これだけでも読む価値あり。ただし価格が……

 

後藤昭雄(1993)『平安朝文人志』吉川弘文館。
※題の如く、平安期の漢詩について触れている。菅原是善、島田忠臣(この本では「嶋」の字を用いている)、紀長谷雄にもそれぞれ一章を割いていることが特徴的。道真の兄弟についての議論はこの本に大いに助けられた。ただし、このような悪く言えば些末な議論が多いため、全体の流れをつかむというような趣ではないように思う。

 

小島憲之、山本登朗(1998)『菅原道真』(日本漢詩人選集 1)、研文出版。
※漢詩がメインの書籍。「はじめに」の議論には見るべきところがあり、また本編では川口以後の研究もある程度反映されている。が、全体としてみれば川口の下位互換という感じが否めない。「お金ないけど道真の漢詩読みたい」という場合には選択肢に入るか。

 

興膳宏(2005)『古代漢詩選』(日本漢詩人選集別巻)、研文出版。
※万葉歌人から道真までの漢詩を載せている。菅原清公の漢詩も解説付きで載っていたり。また、道真の師の島田忠臣にも一章を割いている。道真も当然一章が割かれているが、古体詩を取り上げているのは特徴的。平仄や押韻のわかりやすい解説もあり、漢詩の流れをつかみたいという方には勧められるが、道真だけ知りたいという場合には適さないか。

 

(例外)
文草の会(2014)『菅家文草注釈 文章篇 第一冊(巻七上)/第二冊(巻七下)』勉誠出版。
※詩以外の文について注をつけている。川口のやり残した仕事を担ってくれるすっごい有能……なのだが、当然一般向けではない。それから巻八以降は出るのでしょうか……
 
 

  • 一般書(非漢詩タイプ)

坂本太郎著、日本歴史学会編(1962)『菅原道真』(人物叢書シリーズ)、吉川弘文館。
新装版-1990第一刷。
※道真研究には必須級の書籍。文体は古めながらも平易で読みやすい。ただし、当然ながら新しい研究などは反映されていないので、その点には注意。

 

所功(2002)『菅原道真の実像』臨川書店。
※論文集のような形をとっている。議論が濃密で面白い。また、とくに『菅家伝』についてはこの書籍を参考にした。

 

滝川幸司(2019)『菅原道真 学者政治家の栄光と没落』中公新書。
※上でも出した本。いまや道真研究の第一人者ともなった滝川幸司氏の新書。重要事はほぼ網羅してあるので、漢詩にそこまで興味がないという方はほんとにこれだけでOKなんじゃないかなと……(もちろん漢詩もそこそこ紹介している)

 

森公章(2020)『天神様の正体 菅原道真の生涯』(歴史文化ライブラリー 506)、吉川弘文館。
※土師氏から是善までについてかなりの分量を割いている点が特徴。ただし、全体を通していくらか議論に甘いところがあるようにも見える(たとえば「連聡」について、議論不十分に記している)。しかし、個々の事例についての記述はかなり詳らかであるので、道真についてある程度の知識がある人にはお勧めできる。

 

 

  • 論文集、専門書など

和漢比較文学会編(2003)『菅原道真論集』 勉誠出版。
※道真関連の様々な論文などがまとめられていてとても良い。……が、もちろん一般向けではない。ちなみにこれ、wikiの関連書籍に乗ってたのビビった。wikiなんて是善のページではガチで出典不明にもほどがある道真の兄の名前を捏造してるレベルなのに……(たぶん親戚の誰かと間違えてるんじゃないかな……)

 

波戸岡旭(2005)『宮廷詩人菅原道真 「菅家文草」「菅家後集」の世界』笠間書院。
滝川幸司(2014)『菅原道真論』塙書房。
※この二冊は通読しようとしたらそれだけで一か月溶けるんじゃねえかって本たち。どちらも索引が充実しているので百科事典的に使ってしまった。申し訳ないと思う。道真沼で溺死する予定の人だけが買ってください。それ以外の人は悪いこと言わないからやめとけ。

 
 

 なお、以上の文献へは、webサイト『山陰亭』(michiza.net/)のおかげもあってたどり着けました。この場を借りて感謝申し上げます(残念ながら引用は不可(正確には要事前相談と書かれていたものの、原因不明の不具合らしきもので問い合わせができませんでした)ということであったため、こちらのサイトからは引用を行っていません)。
 『山陰亭』には道真の漢詩の一部とその注はもちろんのこと、他にも様々な情報が載っていますので、道真に興味を持たれた方はぜひ訪問してみてください。

 
 
 ではでは、第二回の道真解説もお楽しみに。4月投稿予定です。

※(米印)

By ※(米印)

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